(2020/11/01)
日本国憲法前文*1を例にして、字音仮名遣ひの校正をしていきたいと思ひます。私は、清書形さえ正仮名遣ひ文であれば、下書き段階では現代仮名遣ひでも構はないといふ主義です。他人の目に触れるのは清書形であり、清書形さへ正しければ、下書きをどう書かうが自由です。
さて、私たちは、現代仮名遣ひで教育を受けてをり、電子機器上で使用する仮名漢字変換も現代仮名遣ひが前提で辞書や活用変化が整備されてゐます。それに対抗して、すべての環境を正仮名遣ひで整へるのは困難が伴ひます。
また、和語だけの正仮名遣ひならば、短期間で習得できますが、漢語に使はれる字音仮名遣ひは、記憶するのに時間が掛かり、通常、仮名書きしないので、明治時代の文豪でも完全に記憶してゐたか疑はしいと思はれます。普通に正仮名遣ひ文を書くだけなら、覚えなくても困ることはありません。
しかし、このブログは総ルビ文を目指してをり、字音仮名遣ひも清書形で見せる必要があります。この特集では総ルビ文に挑戦します。
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
「わいうえおじずかが」を検索して正仮名遣ひに変換します。
- 補助ツール: 複数検索語に同時色付け - jiomの日記
- 「おける」
- 「通じて」
- 「われらと」
- 「われらの」
- 「わが」
- 「わたって」
- 「ないように」→「ないやうに」
- 「主権が」
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
変換が必要なのは、一箇所しかありません。サ変複合動詞の活用語尾は「する」の活用形が連濁したもの、語頭の「わ」は「は」にならない、助詞「が」のやうな和語は、「ぐゎ」にならない、等の前提知識があれば、実際に悩むのは「おける」と「ないように」ぐらいです。
なほ、日本国憲法の原文は正仮名遣ひで書かれてをり、現代仮名遣ひで書かれたものは、原文ではありません。