国語課題小委員会(第45回)(令和3年9月17日)

(2022-06-22) (正カナ)

 最近、ローマ字界隈で動きがありさうなので、文化庁のページを探してゐると、やうやく長音問題を取り上げる意見が出てきたやうです。

○前田委員
(中略)
 ただ、ヘボン式で非常に気になることが二つあります。一つは日本語の長音をうまく書けないという問題があることです。例えば外務省の文書がありましたが、オノさんとオオノさんは同じ表記になってしまうわけです。オオノさんは、もし別の書き方をしたければHを入れてもいいです、事前に御相談くださいというようなことが表の次のページに書いてはありますが、日本語の音韻として短音と長音ははっきり別のものですので、この長音を何とかできないかというのが一つ目です。
 もう一つは、同じ長音のことです。これはヘボン式だけでなくて三つともそうなんですが、母音の上に何か記号を付けることになっています。ヘボン式マクロンと呼ばれる横棒「?」です。訓令式や日本式はアクサンとか、ハットマークとか、サーカムフレックスと呼ばれる山型「^」のものを付けるようになっているようです。三つの方式のいずれも母音に何か記号を付ける、これは手書きだったらまだいいですが、現在のようにキーボードで打つ場合は非常に難しいことになっています。キーボードも日本語キーボードが今、一般的かと思いますが、少なくとも日本語キーボードだけでも日本語をローマ字化できるようになるというくらいの調整ができるようになると、実際に有難いことになるのではないかと思っています。

 一番目は、正しくは、長短の区別を付けないのはヘボン式のせゐでなくパスポート式のせゐです。ヘボン式だと「Ono」「Ōno」で区別を付けます。訓令式でも「Ono」「Ôno」「OONO」と区別を付けます。ところが、パスポートは訓令式の「Ôno」しか認めず、しかもパスポートの国際規格で字上符が使へないので、大胆にも「^」を省いて「Ono」にしてしまったのです。せめて「OONO」とする発想があれば、ローマ字の長音問題は今ほど深刻ではありませんでした。
 二番目は、「Ō」や「Ô」の入力が電子機器で面倒だといふ点は正しいです。ところが入力デバイスの改良で入力をしやすくするといふ発想は無意味です。パスポートの国際規格が「Ō」や「Ô」を認めない限り、日本語のローマ字における長短の問題は依然残ります。一番簡単なのは、仮名遣ひ通りに「Ou」や「Oo」とつづることを認めればよいだけです。
 頑なに「Ou」の長音を認めない訓令式原理派の人達は、自分でローマ字のブログやツイッターをやれば、どんだけ「Ō」「Ô」が邪悪なものか実感を持てるでせう。ブログは HTML ベースなのでまだ何とかなりますが、スマホからツイッターで「Ō」「Ô」なんて、コピペでしか入力手段がないないので、気軽に呟ける代物ではありません。