国語課題小委員会(第54回)(令和4年10月21日) - 配布資料 - 2

(2022-11-26) (正カナ)

 『「国語に関する世論調査」におけるローマ字表記についての調査結果』について、長音をローマ字でどのやうにつづるのか時系列で意識調査が行はれてゐた。実回答のおける割合と、有効回答における割回をまとめてみる。

神戸(こうべ)
実回答に対する割合→有効回答に対する割合

平12 平22 令2 平12 平22 令2
Kôbe 18.8 8.0 7.5 21.6 8.7 7.6
Kōbe 40.1 56.9 55.2 46.1 61.8 55.8
Kobe 14.2 10.8 13.6 16.3 11.7 13.7
Koobe 2.0 1.5 1.5 2.3 1.6 1.5
Koube 9.6 11.6 18.9 11.0 12.6 19.1
Kohbe 2.3 3.3 2.3 2.6 3.6 2.3

大阪(おおさか)
実回答に対する割合→有効回答に対する割合

平12 平22 令2 平12 平22 令2
Ôsaka 14.9 8.4 7.7 17.1 9.1 7.8
Ōsaka 38.0 53.0 54.9 43.7 57.5 55.5
Osaka 23.3 19.6 21.0 26.8 21.3 21.2
Oosaka 7.3 6.7 11.6 8.4 7.3 11.7
Ohsaka 3.5 4.4 3.8 4.0 4.8 3.8

 長音を「ô」「ō」「o」で表す場合、「ō」が勢力を増し、「ô」が急速に衰へ、「o」が徐々に衰へてゐる状況だ。「oh」はパスポートで認められ一時期勢力を増したが、「h」の後ろに「a, e, h, i, o, u, y」が来た時の規則も決まってをらず、逆に衰へ始めてゐる。最も勢力を伸ばしてゐるのが、仮名に従ふ「ou」や「oo」のつづりである。
 いくら「ō」の方が正しいと知ってゐても、パスポートでは「o」と表すべきと知ってゐても、仮名に従ふ方法が最も混乱なくつづれることから安心感があるのだらう。

国語課題小委員会(第54回)(令和4年10月21日) - 配布資料 - 1

(2022-11-26) (正カナ)

 『「国語に関する世論調査」におけるローマ字表記についての調査結果』について、撥音の後ろに母音がきたときの調査結果が載ってゐた。

  • 田園(でんえん)
    • 64.9% Denen
    • 18.2% Den-en
    • 11.8% Dennen
    • 3.6% Den'en

 訓令定義で正しい「Den'en」が 3.6% しか使はれてゐない。「Den-en」は許容範囲と言へるが、それでも 18.2%。もっとも2位であることは救ひかもしれない。1位は「Denen」。「でねん」とどうやって区別を付けるのだらう。ただ、「'」や「-」を挟むのを忘れたと思へば、「おおさか」を「Ōsaka」でなく「Osaka」と書くのと同様の扱ひかもしれない。実際、パスポートの申請では、「しんいち」は「Shinichi」であり、文脈から「しにち」とは読まれないから長音符の付け忘れよりは害は少ない。
 そして、「Dennen」が 11.8% もあるのは由々しきことである。ローマ字仮名変換の「nn(ん)」がもたらした弊害である。では「でんねん」はどうつづるのか聞いてほしかった。多分、さう言ふ人は「Dennnen」と答へるのだらう。

国語課題小委員会(第54回)(令和4年10月21日)

(2022-11-26) (正カナ)

 『ローマ字のつづり方について:言語学の観点から (ペート・バックハウス氏提供)』に興味深い資料があった。

  • 神戸(こうべ)
    • 55.2% Kōbe
    • 18.9% Koube
    • 13.6% Kôbe
    • 7.5% Kobe
    • 2.3% Kohbe
    • 1.5% Koobe
  • 大阪(おおさか)
    • 54.9% Ōsaka
    • 21.0% Osaka
    • 11.6% Oosaka
    • 7.7% Ôsaka
    • 3.8% Ohsaka

 「ô」よりも「ō」の方が一般的だし、長音符が使えない環境では、仮名遣ひどほりにつづりたくなるものだ。

国語課題小委員会(第53回)(令和4年9月9日)

(2022-11-26) (正カナ)

 この回は、新日本式ローマ字の紹介がメイン。新日本式は学術的に使ふ分には、悪いとは思はないが、標準で取り上げる価値があるとは思へない。行段の規則性を求める人は日本式だし、表音性を求める人はヘボン式だ。新日本式は、その狭間でどちら付かずの状態だ。
 実用面でローマ字の問題は、長音符の廃止と単独の促音。ヘボン式(英語式)信仰の強い日本において、英語にない「ô」は異端のものだ。苦労してまで使ふ人は少ない。「o」と略されるか、「ou」と仮名遣ひどほりにつづるかのどちらか。「oh」でもかまないが、それなら詳細に矛盾のない規則を定めるべき。
 単独の促音は、教育上普通に必要。「一回(ikkai)」「一杯(ippai)」「一歳(issai)」「一体(ittai)」を「一(ik, ip, is, it)」と別々に扱ふのは混乱を招く。「一(iq)」でまとめて表すべき。