ローマ字文の分かち書き

(2020/06/30)

 ローマ字文の分かち書きについて試行錯誤して法則を追及してきましたが、ゼロから構築するのは無理がありました。既に学校教育で前提知識のある国文法の用語を使用して、簡潔に説明することにします。

分かち書き三規則

  • 1. 原則として、国文法の単語ごとに分かち書きを行ふ
  • 2. 形容動詞は活用語尾を切り離す
  • 3. 用言の終止形以外に接続する助詞・助動詞は続けて書く

1. 原則として、国文法の単語ごとに分かち書きを行ふ

 辞書の見出し語は原則的に単語ごとに紹介されてゐます。例外として、接辞(接頭辞と接尾辞)があります。接辞を除いた見出し語を分かち書きの単位と見なします。

  • 「月が昇るし日が沈む」「tsuki ga noboru shi hi ga shizumu」

 サ変複合動詞には、例として「勉強する」があります。国文法上は一つの単語として扱ふときもありますが、「私は英語を勉強するが」に対して「私は英語を勉強もするが」のやうに「勉強」と「する」の間に助詞を入れることができます。従って、それぞれ独立した単語と見なせるので、「勉強する」は空白を入れます。

  • benkyou suru

 一方、「信ずる」や「達する」のやうな漢字一文字のサ変複合動詞は間に助詞を入れることができないので、空白を入れません。

  • shinzuru, tassuru

2. 形容動詞は活用語尾を切り離す

 辞書の見出し語では、大半の辞書は、形容動詞は活用語尾まで含めず、語幹だけが見出し語になります。例へば、形容動詞の「静かだ」は、辞書では「静か」が見出し語になります。「静か」の後ろに空白を置き、活用語尾「だ」とその活用形を切り離します。

  • shizuka da, shizuka de, shizuka ni, shizuka na, shizuka nara

 助動詞「そうだ」「ようだ」の扱ひは、形容動詞に準じ、活用変化する部分を切り離します。

  • sou da, sou de, sou ni, sou na, sou nara
  • you da, you de, you ni, you na, you nara

3. 用言の終止形以外に接続する助詞、助動詞は続けて書く

 用言の終止形以外に接続する助詞、助動詞は単語としての独立性が低いので続けて書きます。なほ、形容動詞の連体形活用語尾「な」も終止形に準ずる扱ひとします。

助詞 置く 研ぐ 起きる 青い です ~ます
たり/だり oitari toidari okitari aokattari dattari deshitari mashitari
て/で oite toide okite aokute deshite mashite
ながら okinagara toginagara okinagara
okeba togeba okireba aokereba naraba masureba
  • 「ても/でも」は、「て/で」に「も」が接続したものと見なし、「も」を切り離す「oite mo」
  • 「青いながら」の「ながら」は終止形接続なので切り離す「aoi nagara」
  • 助詞が連なる場合は、続けて書かずに、常に空白で切り離す「de wa」「ni wa」
助動詞 置く 研ぐ 起きる 青い です ~ます
う/よう okou togou okiyou aokarou darou deshou mashou
せる/させる okaseru togaseru okisaseru
そうだ okisou da togisou da okisou da aosou da
た/だ oita toida okita aokatta datta deshita mashita
たい okitai togitai okitai
ない okanai toganai okinai
ぬ/ん okanu toganu okinu masen
まい okimai
ます okimasu togimasu okimasu
れる/られる okareru togareru okirareru
  • 「置くそうだ」の「そうだ」は終止形接続なので切り離す「oku sou da」
  • 「た/だ」の活用形はすべて続けて書く「oitarou」「oitara」「oitaraba」
  • 「たい」は「たがる」といふ派生形を持つ「okitagaru」
  • 「青くない」の「ない」のやうに形容詞の連用形に接続する「ない」は、助動詞でなく独立した形容詞なので切り離す「aoku nai」
  • 「ぬ」の活用形はすべて続けて書く「okazu」「okaneba」
  • 「置くまい」の「まい」は終止形接続なので切り離す「oku mai」
  • 助動詞の活用形で、ここで未紹介のものは、動詞、形容詞、形容動詞の分かち書きに準ずる