ノーベル賞

 日本人關係者から、ノーベル賞が4人も出たさうだ。ところが、その内ひとりはアメリカに歸化した日系アメリカ人で、もうひとりはアメリカに永住してゐる研究者である。また、殘りふたりも、研究自體はノーベル賞を受賞した日系アメリカ人の研究に關係あると言はれてゐる。それで、日本のマスコミは頭腦流出を嘆いてゐるわけだが、順序が違ふやうな氣がする。アメリカに研究據點を置くふたりの先人が歐米の學會とコネを持ってゐたから、日本人が4人もノーベル賞を取れたのが眞相だらう。
 日本にずっとゐても素晴らしい研究設備はあるし、目覺しい研究業績も殘せる。ただ、それだけでは歐米は評價しない。お隣の中國だって、(パクリと言へども)自國の研究者だけで、宇宙遊泳を成功させたのだが、ノーベル賞學者なんてひとりもゐない。ノーベル賞受賞で浮かれるのと同時にノーベル賞への疑念も持ったはうがいい。もちろん、受賞した研究者には純粹に尊敬の念を抱く。