『吾輩は猫である』の現代仮名遣ひ版を校正

  • 1. 現代仮名遣ひ文で、文章を完成させる。

 吾輩は猫である。名前はまだ無い。
 どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕えて煮て食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。

  • 2. 「う」を検索して、長音の場合は、必要なら手前の仮名文字を書き換へ、次に、必要なら「ふ」に置き換へる。
    • という → といふ
    • あったそうだ → あったさうだ
    • 食う → 食ふ
  • 3. 「わ」「い」「え」「お」「じ」「ず」をそれぞれ検索して、必要なら「はひへほゐゑをぢづ」に置き換へる。
  • 3-1 「わ」
    • 思わなかった → 思はなかった
    • フワフワ → フハフハ
  • 3-2 「い」
    • 無い → 無い
    • 薄暗い → 薄暗い
    • ていた → てゐた
    • ている → てゐる
    • という → といふ
    • 恐しい → 恐しい
  • 3-3 「え」
    • 捕えて → 捕へて
  • 3-4 「お」(候補なし)
  • 3-5 「じ」
    • じめじめ → じめじめ
    • 感じ → 感じ
  • 3-6 「ず」(候補なし)

 吾輩は猫である。名前はまだ無い。
 どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いてゐた事だけは記憶してゐる。吾輩はここで始めて人間といふものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生といふ人間中で一番獰悪な種族であったさうだ。この書生といふのは時々我々を捕へて煮て食ふといふ話である。しかしその当時は何といふ考もなかったから別段恐しいとも思はなかった。ただ彼の掌に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフハフハした感じがあったばかりである。

 吾輩は猫である。名前はまだ無い。
 どこで生まれたか頓と見當がつかぬ。何ても暗薄いじめじめした所でニャー/\泣いて居た事丈は記憶して居る。吾輩はこゝで始めて人間といふものを見た。然もあとで聞くとそれは書生といふ人間で一番獰惡な種族であつたさうだ。此書生といふのは時々我々を捕へて煮て食ふといふ話である。然し其當時は何といふ考もなかつたから別段恐しいとも思はなかつた。但彼の掌に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフハフハした感じが有つた許りである。

 辞書で確認したのは、「じめじめ」「フワフワ」といふ擬態語ぐらゐです。擬態語がなければ、辞書なしで校正可能です。また、原文では「ゐる」ではなく「居る」と書いてゐます。