(2020/11/03)
字音仮名遣ひを使った総ルビの特集をしましたが、実は、このブログの前身であるziomの日記は、2004年9月に開設してから、2005年4月まで、約200記事近く、総ルビで投稿してゐました。それは、自作のツールをローカルのマシンで動かして、自動生成した結果であり、人間が関与した総ルビ文ではないので、総ルビ文の作成はやめました。
その後、15年間、心の片隅には、いつかは、ブログだけで完結した手順を確立したいと考へてゐました。三つの段階があります。
- (1) 正仮名遣ひ文を書く
- (2) 字音仮名遣ひを調べる
- (3) ルビタグを記述する
(1) はそれほど難しいことではなく、現代仮名遣ひ文から、「わいうえおじず」を検索して、正仮名遣ひに校正することで解決します。大半が、活用語尾と附属語に限定されるので、覚える数は少なく、短期間で習得できます。
(3) は疑似ルビ(例 {漢字|かんじ})を定義して、<ruby>漢字<rt> かんじ </ruby> に変換することです。手元のメモ帳でも実現できることですが、毎回、変換を三度行ふのは大変なので、ブログで、一括変換用の簡易ツール*1を提供しました。
(2) が最後に残された課題です。字音仮名遣ひを覚えるといふのは現実的でないでしょう。(1) の段階で既に正仮名遣ひ文が完成するので、ルビを振らない限り字音仮名遣ひが仮名書きされることはありません。慣用的に仮名書きされる字音があっても、それらは数も少なく、和語に準じて個別に覚えれば済む話です。
一般的な字音を調べる方法として、最初に思ひつくのは、ネット上の漢字辞典を検索して、個別に字音を調べる方法です。事実、過去にはそのやうな方法で字音を調べてゐます。しかし、この方法は思ったほど学習効果は高くありません。単独の漢字を調べても、その漢字の字音が機械的にわかるだけで、しばらくすると忘れてしまひます。
そこで、試しに、音読みから字音の候補を表示するツール*2を作成してみました。「わいうえおじずかが」に該当する音読みだけを校正対象にします。字音の候補と該当する漢字をすべて一覧にすることで、漢字の部品と字音との関連を連想することが可能になり、学習効果が高まりました。
最後に、総ルビ文作成で最も労力を割くのは、現代仮名遣いで疑似ルビを追加する作業です。それに比べると、現代仮名遣ひから字音仮名遣ひへの校正は大した手間ではありません。字音仮名遣ひそのものは、それほど厄介ではないといふ認識に至りました。