進化したのはゴマすり遺傳子か?

環境適応へ、ヒトの遺伝情報の変化加速…民族間の差拡大
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071211i105.htm

 同大のH・ハーペンディング教授らが、日本、中国、アフリカ、欧州系の計4グループから、計270人分のDNAデータを集めて比較。遺伝情報を示す文字の入れ替わり(SNP)の変化に着目。この変化の度合いから、DNAの各部分が人類の歴史の中でいつごろ登場したのかを推測した。

 その結果、人類がチンパンジーと枝分かれしてからの約600万年間に比べ、現生人類が誕生してからの4万年間は、遺伝情報の変化が速いことが分かった。

 特に最近1万年間は加速しているという。研究チームは「多様な生活環境に適応するための自然淘汰(とうた)が起きているため」と説明している。

 感覺的に言へば、最近はエアコンだの抗菌グッズだの快適な環境のせゐで人類は生存競爭から脱落してゐるやうに思へるのだが、さういふ環境を享受できるのはごく一部の先進國だけで、大半がいまだに嚴しい環境で生きてゐる。良く考へたら、最近1萬年間といふのは農耕文明が始まり、集團間で大量虐殺が始まった時代でもある。人類にとって、自然といふ環境は以前ほど嚴しくないが、社會といふ環境は途轍もなく嚴しくなった。それは今でも繼續中だ。生命の危險は減ったが、子孫を殘せる環境は十分嚴しい。恐らく、ここ1萬年で最も進化した遺傳子は權力者へのゴマすり遺傳子であらう。さういふ點では私はまだまだ進化が足りないやうだ。

 しかし、この記事はどの民族が一番變化してゐるかについて言及がない。さすがに、これ以上は新聞で取り上げる内容ではないのだらう。ところで、日本と中國を別グループにする意味があるのか(*1)?ただ、日本人と中國人(と韓國人)の氣質を違ひを考へれば、それが遺傳子などの先天的なものか教育や食習慣などの後天的なものか研究したくなる氣持ちも分かる。

  • (*1)この文脈からでは、日本や中國は、蒐集用のグループ分けであり、民族の區分と一致してゐるか不明である。