IMEのせゐで正假名遣ひを使用しない

 正假名遣ひの支持者なのに、IMEのせゐで正假名遣ひを使用しない人はゐないと思ってゐたけど、さうでもないらしい。まづ正字の場合、確かに共用環境で使用するのは辛いときがある。正字の入力は基本的に單漢字入力になるし、IMEによっては、略字がある場合、對應する正字を辭書から抹殺してゐるものもある。無論、これらの不便は正字を登録したユーザ辭書を使用すれば解決するが、共用環境でこれをすると正字の優先度が上がり、略字を使ふ他人から確實に怒られる。だから、正字にはいろいろややこしい問題がある。
 一方、正假名遣ひにはさういふ制約はないと思ふ。確かに「思ふ」などのハ行四段活用や「書かう」などの推量の表現では多少の打ち直しが必要になるが、その程度の手間を惜しんだ結果、現代假名遣ひの字面を眺めるのは、もっと精神衞生上惡影響があるだらう。
 ところで、「ゐ」「ゑ」を假名入力する場合、ローマ字變換はそれぞれ「WYI」「WYE」であるが、これはJISで定められた仕樣なので、共用環境に設定しても文句を言はれる筋合ひはない。大半の人がこの組み合はせさへ知らないので、氣付かれることもない。