特集「長音と同スペル異義語」: 始めに

(2022/01/09) (現カナ)

 訓令定義の最大の欠点は長音を字上符で表すことです。一応、字上符が使えない環境での代用表記も定められていますが、その存在を知っている人はほとんどいません。しかも、1946年に定められた現代仮名遣いと連携が取れていません。例えば、「TÔKYÔ」の代用表記は「TOOKYOO」ですが、通常は、パスポート式に「TOKYO」、もしくは仮名遣いどおりに「TOUKYOU」とつづるでしょう。
 パスポートは字上符が使えない環境の代表例ですが、正式な代用表記よりも字上符を省く対応を選び、仮名で書き分けられた別人同士が、ローマ字では同姓同名になってしまいます。「おの」さんと「おおの」さんが同じ「ONO」さんになり、「ゆか」さんと「ゆうか」さんが同じ「YUKA」さんになってしまいます。
 この対応を一般名詞の漢字熟語に当てはめると、大量に同スペル異義語が生じてしまいます。この特集では常用漢字表をサンプルとしてそれらの一覧を示していきます。

パスポート ヘボン式 NQH式 漢字
GYO GYOKO gyokō gyokou 漁港
gyōko gyouko 凝固
gyōkō gyoukou 行幸