ルビ假名遣ひ

 字音假名遣ひの正體は、振り假名假名遣ひだ。語呂が惡いのでルビ假名遣ひとでも命名しておかう。要するにルビに使ふ假名遣ひに過ぎない。個人的な文章にいちいちルビを振ったりしないやうに、萬人が習得する必要のないものだ。戰前の新聞などは總ルビであるが、現場の記者が記事にルビを振るやうなことはしない。ルビを振るのは專門の職人である。報酬を得る專門家であれば、當然、一般人と比べやうもない專門知識が必要である。だから、戰前も字音假名遣ひを正確に運用するのは專門家だけであって、一般人が直接字音假名遣ひを使ふ必要はなかったのである。