字音假名遣ひの誤解

  • 字音假名遣ひは覺えるのが大變だから正假名遣ひは難解である。

 まさか、文章を書くとき、全ての漢字熟語を假名書きする人はゐまい。假名で書くと不自然な漢字熟語は漢字で書くし、假名で書いても自然な漢字熟語は假名で書くときもある。原稿表紙1枚のなかで、その規則を適用すれば、假名書きされるやうな字音假名遣ひは大した數にならない。ゼロかもしれない。假名書きするのが自然な漢字熟語、例へば、「さやうなら(左樣なら)」などは、正假名遣ひに準ずるものとして覺えれば濟む問題で、そんなに數はない。

  • 字音假名遣ひは辭書引きが大變

 全ての見出しが正假名遣ひに從ってゐる必要はない。例へば、漢字辭典では、部首を間違へやすい漢字には假見出しを設けてゐる。例へば、「聞」の部首は「耳」だが、「門」の部のところにも假見出しを設けて、本見出しである「耳」の部に誘導してゐる。正假名遣ひもこれと同じで、表音的な假名遣ひ(棒引き假名遣ひ)などを假見出しにして、正假名遣ひを本見出しにすれば解決する。