棒引假名遣ひ3

 この件をつい引っ張ってしまふが、棒引假名遣ひが教育された期間は、明治の一時期と言っても、確認できる資料では、最短で4年間ほど小學校の教科書で使はれてゐた。評判は惡かったやうだが、この假名遣ひで教育を受けた日本人は、一學年を100萬人*1とすれば、全面的に教育を受けたのは、400萬人、一部でも教育に關係してゐたのが、1000萬人だ。それだけの人數が、棒引假名遣ひといふ簡略化された字音假名遣ひで教育を受けたのだから、當時はさぞかし學力低下が社會問題になったはずだが、さういふ話をネット上で見かけたことがない。この反證として、字音假名遣ひの知識は、當時の國語力とは全く關係がなかったと言へまいか?
 これと對比されるのが、韓國のハングル專用教育だが、ほんの數年間、學校教育で漢字を使はなかっただけで、後戻りができなくなってしまった。文章の表に出てゐる漢字と、裏に隱れてゐる字音假名遣ひとではこれほど影響力が違ふのである。

*1:當時の總人口を5000萬人、平均壽命を50歳と假定する