特集「ローマ字の分かち書き」: 実例5

(2019/05/18)

  • 特集「ローマ字の分かち書き」
  • 夏目漱石 坊っちゃん
  • 分かち書き
    • (1) 文頭に置ける言葉は空白を前に置き、文末に置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (2) 「です」を後ろに置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (3) 「それ」を前に置ける助詞は空白を前に置く
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分ける
    • (3) 助動詞「ます」はつづりが長くなるのでハイフンを前に置く

庭を東へ二十歩に行き尽すと、南上がりにいささかばかりの菜園があって、真中に栗の木が一本立っている。これは命より大事な栗だ。実の熟する時分は起き抜けに背戸を出て落ちた奴を拾ってきて、学校で食う。菜園の西側が山城屋という質屋の庭続きで、この質屋に勘太郎という十三四の倅が居た。勘太郎は無論弱虫である。弱虫の癖に四つ目垣を乗りこえて、栗を盗みにくる。ある日の夕方折戸の蔭に隠れて、とうとう勘太郎を捕まえてやった。

 (1) の「文頭」を当てはます。

庭を/東へ/二十歩に/行き尽すと、南上がりに/いささかばかりの/菜園が/あって、真中に/栗の/木が/一本/立って/いる。これは/命より/大事な/栗だ。実の/熟する/時分は/起き抜けに/背戸を/出て/落ちた/奴を/拾って/きて、学校で/食う。菜園の/西側が/山城屋と/いう/質屋の/庭続きで、この/質屋に/勘太郎と/いう/十三四の/倅が/居た。勘太郎は/無論/弱虫で/ある。弱虫の/癖に/四つ目垣を/乗りこえて、栗を/盗みに/くる。ある/日の/夕方/折戸の/蔭に/隠れて、とうとう/勘太郎を/捕まえて/やった。

 (1) の「文末」を当てはめます。

庭を/東へ/二十歩に/行き尽す/と、南上がりに/いささかばかりの/菜園が/あって、真中に/栗の/木が/一本/立って/いる。これは/命より/大事な/栗だ。実の/熟する/時分は/起き抜けに/背戸を/出て/落ちた/奴を/拾って/きて、学校で/食う。菜園の/西側が/山城屋と/いう/質屋の/庭続きで、この/質屋に/勘太郎と/いう/十三四の/倅が/居た。勘太郎は/無論/弱虫で/ある。弱虫の/癖に/四つ目垣を/乗りこえて、栗を/盗みに/くる。ある/日の/夕方/折戸の/蔭に/隠れて、とうとう/勘太郎を/捕まえて/やった。

 (2) の「です」を当てはめます。

庭/を/東/へ/二十歩/に/行き尽す/と、南上がり/に/いささか/ばかり/の/菜園が/あって、真中/に/栗/の/木/が/一本/立って/いる。これ/は/命/より/大事/な/栗/だ。実/の/熟する/時分/は/起き抜け/に/背戸/を/出て/落ちた/奴/を/拾って/きて、学校/で/食う。菜園/の/西側/が/山城屋/と/いう/質屋/の/庭続き/で、この/質屋/に/勘太郎/と/いう/十三四/の/倅/が/居た。勘太郎/は/無論/弱虫/で/ある。弱虫/の/癖/に/四つ目垣/を/乗りこえて、栗/を/盗み/に/くる。ある/日/の/夕方/折戸/の/蔭/に/隠れて、とうとう/勘太郎/を/捕まえて/やった。

 (3) に当てはまるものはありません。
 ハイフンを付けるとすれば、「二十-歩」「熟-する」「山城-屋」「十三-四」「四つ目-垣」が当てはまります。
 ローマ字文では次のやうになります。

  • Niwa wo higashi e Nijiq-po ni ikitsukusu to, minamiagari ni isasaka bakari no Saien ga atte, mannaka ni kuri no ki ga Ippon tatte iru. Kore wa inochi yori Daiji na kuri da. Mi no juku-suru Jibun wa okinuke ni sedo wo dete ochita yatsu wo hirotte kite, Gakkou de kuu. Saien no nishigawa ga Yamashiro-ya to iu Shichiya no Niwatsuzuki de, kono Shichiya ni Kantarou to iu Juusan-shi no segare ga ita. Kantarou wa Muron yowamushi de aru. Yowamushi no kuse ni yotsume-gaki wo norikoete, kuri wo nusumi ni kuru. Aru hi no yuugata orido no kage ni kakurete, toutou Kantaou wo tsukamaete yatta.