特集「ローマ字の分かち書き」: 実例3

(2019/05/18)

  • 特集「ローマ字の分かち書き」
  • 夏目漱石 坊っちゃん
  • 分かち書き
    • (1) 文頭に置ける言葉は空白を前に置き、文末に置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (2) 「です」を後ろに置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (3) 「それ」を前に置ける助詞は空白を前に置く
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分ける
    • (3) 助動詞「ます」はつづりが長くなるのでハイフンを前に置く

なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。小使に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな眼をして二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす奴があるかと云ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。

 (1) の「文頭」を当てはます。

なぜ/そんな/無闇を/したと/聞く/人が/あるかも/知れぬ。別段/深い/理由でも/ない。新築の/二階から/首を/出して/いたら、同級生の/一人が/冗談に、いくら/威張っても、そこから/飛び降りる/事は/出来まい。弱虫やーい。と/囃したからで/ある。小使に/負ぶさって/帰って/来た/時、おやじが/大きな/眼を/して/二階ぐらいから/飛び降りて/腰を/抜かす/奴が/あるかと/云ったから、この/次は/抜かさずに/飛んで/見せますと/答えた。

 (1) の「文末」を当てはめます。

なぜ/そんな/無闇を/した/と/聞く/人が/ある/か/も/知れぬ。別段/深い/理由でも/ない。新築の/二階から/首を/出して/いたら、同級生の/一人が/冗談に、いくら/威張っても、そこから/飛び降りる/事は/出来まい。弱虫やーい。と/囃した/からで/ある。小使に/負ぶさって/帰って/来た/時、おやじが/大きな/眼を/して/二階ぐらいから/飛び降りて/腰を/抜かす/奴が/ある/か/と/云った/から、この/次は/抜かさずに/飛んで/見せます/と/答えた。

 (2) の「です」を当てはめます。

なぜ/そんな/無闇/を/した/と/聞く/人/が/ある/か/も/知れぬ。別段/深い/理由/でも/ない。新築の/二階/から/首を/出して/いたら、同級生/の/一人/が/冗談/に、いくら/威張っても、そこ/から/飛び降りる/事/は/出来まい。弱虫/やーい。と/囃した/から/で/ある。小使/に/負ぶさって/帰って/来た/時、おやじ/が/大きな/眼/を/して/二階/ぐらい/から/飛び降りて/腰/を/抜かす/奴/が/ある/か/と/云った/から、この/次/は/抜かさずに/飛んで/見せます/と/答えた。

 (3)に当てはまる「理由/でも」「威張っても」「抜かさずに」にある「も」「に」は「(それ)も」「(それ)に」と言へるので切り離します。

なぜ/そんな/無闇/を/した/と/聞く/人/が/ある/か/も/知れぬ。別段/深い/理由/で/も/ない。新築の/二階/から/首を/出して/いたら、同級生/の/一人/が/冗談/に、いくら/威張って/も、そこ/から/飛び降りる/事/は/出来まい。弱虫/やーい。と/囃した/から/で/ある。小使/に/負ぶさって/帰って/来た/時、おやじ/が/大きな/眼/を/して/二階/ぐらい/から/飛び降りて/腰/を/抜かす/奴/が/ある/か/と/云った/から、この/次/は/抜かさず/に/飛んで/見せます/と/答えた。

 ハイフンを付けるとすれば、「同級-生」「見せ-ます」が当てはまります。
 ローマ字文では次のやうになります。

  • Naze sonna Muyami wo shita to kiku hito ga aru ka mo shirenu. Betsudan fukai Riyuu de mo nai. Shinchiku no Nikai kara kubi wo dashite itara, Doukyuu-sei no hitori ga Joudan ni, ikura Ibatte mo, soko kara tobioriru koto wa dekimai. Yowamushi yaai. To hayashita kara de aru. Kozukai ni obusatte kaette kita toki wa, oyaji ga ookina me wo shite Nikai gurai kara tobiorite koshi wo nukasu yatsu ga aru ka to itta kara, kono tsugi wa nukasazu ni tonde mise-masu to kotaeta.