特集「ローマ字の分かち書き」: 実例8

(2019/07/06)

  • 特集「ローマ字の分かち書き」
  • 夏目漱石 坊っちゃん
  • 分かち書き
    • (1) 文頭に置ける言葉は空白を前に置き、文末に置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (2) 「です」を後ろに置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (3) 「それ」を前に置ける助詞は空白を前に置く
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分ける
    • (3) 助動詞「ます」はつづりが長くなるのでハイフンを前に置く

この外いたずらは大分やった。大工の兼公と肴屋の角をつれて、茂作の人参畠をあらした事がある。人参の芽が出揃わぬ処へ藁が一面に敷いてあったから、その上で三人が半日相撲をとりつづけに取ったら、人参がみんな踏みつぶされてしまった。古川の持っている田圃の井戸を埋めて尻を持ち込まれた事もある。

 (1) の「文頭」を当てはます。

この/外/いたずらは/大分/やった。大工の/兼公と/肴屋の/角を/つれて、茂作の/人参畠を/あらした/事が/ある。人参の/芽が/出揃わぬ/処へ/藁が/一面に/敷いて/あったから、その/上で/三人が/半日/相撲を/とりつづけに/取ったら、人参が/みんな/踏みつぶされて/しまった。古川の/持って/いる/田圃の/井戸を/埋めて/尻を/持ち込まれた/事も/ある。

 (1) の「文末」を当てはめます。

この/外/いたずらは/大分/やった。大工の/兼公と/肴屋の/角を/つれて、茂作の/人参畠を/あらした/事が/ある。人参の/芽が/出揃わぬ/処へ/藁が/一面に/敷いて/あった/から、その/上で/三人が/半日/相撲を/とりつづけに/取ったら、人参が/みんな/踏みつぶされて/しまった。古川の/持って/いる/田圃の/井戸を/埋めて/尻を/持ち込まれた/事も/ある。

 (2) の「です」を当てはめます。

この/外/いたずら/は/大分/やった。大工/の/兼公/と/肴屋/の/角/を/つれて、茂作/の/人参畠/を/あらした/事/が/ある。人参/の/芽/が/出揃わぬ/処/へ/藁/が/一面/に/敷いて/あった/から、その/上/で/三人/が/半日/相撲/を/とりつづけに/取ったら、人参/が/みんな/踏みつぶされて/しまった。古川/の/持って/いる/田圃/の/井戸/を/埋めて/尻/を/持ち込まれた/事/も/ある。

(3) を当てはめると、「とりつづけに」の「に」は、「(それ)に」と言へるので、切り離します。

この/外/いたずら/は/大分/やった。大工/の/兼公/と/肴屋/の/角/を/つれて、茂作/の/人参畠/を/あらした/事/が/ある。人参/の/芽/が/出揃わぬ/処/へ/藁/が/一面/に/敷いて/あった/から、その/上/で/三人/が/半日/相撲/を/とりつづけ/に/取ったら、人参/が/みんな/踏みつぶされて/しまった。古川/の/持って/いる/田圃/の/井戸/を/埋めて/尻/を/持ち込まれた/事/も/ある。

 ハイフンを付けるとすれば、「肴-屋」「人参-畠」「三-人」が当てはまります。
 ローマ字文では次のやうになります。

  • Kono hoka itazura wa Daibun yatta. Daiku no Kanekou to sakana-ya no Kaku wo tsurete, Mosaku no Ninjin-batake wo arashita koto ga aru. Ninjin no me ga desorowanu tokoro e wara ga Ichimen ni shiite atta kara, sono ue de San-nin ga Hannichi sumou wo toritsuzuke ni tottara, Ninjin ga minna fumitsubusarete shimatta. Furukawa no motte iru tanbo no ido wo umete shiri wo mochikomareta koto mo aru.