白村江敗戦と上代特殊仮名遣ひ(ISBN:9784862231475)
http://www.ops.dti.ne.jp/~kanpon/HAKUSUKINOE.htm
第三章から第六章までの研究手法に興味があるので、いづれ購入する予定だ。個人的には、次の二つの条件だけで言語学的にはケリが付くと思ふのだが、朝鮮や中国を絡めると、部外者が参入してきて問題が複雑になりさうだ。もつとも作者はこれを狙つてゐるのだらうけど、。
- 1、条件異音の書き分けはネイティブにはできない。←これは言語学的、音声学的に公理に近い前提。
- 2、上代特殊仮名遣ひの電子コーパスがあれば、条件異音の有無は3日でケリが付く(自然科学系ではこの過程を経ずに論文を書くことはありえない。)ただ、これだけだと母音調和と条件異音の区別が付かないが、少なくとも、音素の独立性を否定する材料にはなると思ふ。
といふことで上代特殊仮名遣ひの電子コーパスがネットに転がつてゐないかと虫の良い願望を持つてゐる。
また、音声CDについては、発音は時代によつて大きく変化しないといふ前提が必要になつてくる。確かに、基本的に安定してゐるのだが、大母音の推移の例もあるやうに地域によつては大変化も起きるので、現代語で比較するのは、これは一長一短だと思ふ。私も基本的に作者と同じ考へを持つてゐるのだが、個人的には、統計的手法を好む。
いきなり国語学者に実証面からの反論をぶつけると目の仇にされるけど、統計的手法でやんはり傾向だけを報告しておくと、結構、先方もデータを尊重して自論を修正してゐたりすることが後で分かる。日本書紀中国人作説で森博達氏があまり批判されないのは、統計手法から導き出せる事実以外には踏み込まないからだらう。