特集「ローマ字の分かち書き」: 実例11

(2019/08/04)

  • 特集「ローマ字の分かち書き」
  • 夏目漱石 坊っちゃん
  • 分かち書き
    • (1) 文頭に置ける言葉は空白を前に置き、文末に置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (2) 「です」を後ろに置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (3) 「それ」を前に置ける助詞は空白を前に置く
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分ける
    • (3) 助動詞「ます」はつづりが長くなるのでハイフンを前に置く

母が病気で死ぬ二三日前台所で宙返りをしてへっついの角で肋骨を撲って大いに痛かった。母が大層怒って、お前のようなものの顔は見たくないと云うから、親類へ泊りに行っていた。するととうとう死んだと云う報知が来た。そう早く死ぬとは思わなかった。そんな大病なら、もう少し大人しくすればよかったと思って帰って来た。そうしたら例の兄がおれを親不孝だ、おれのために、おっかさんが早く死んだんだと云った。口惜しかったから、兄の横っ面を張って大変叱られた。

 (1) の「文頭」を当てはます。

母が/病気で/死ぬ/二三日前/台所で/宙返りを/して/へっついの/角で/肋骨を/撲って/大いに/痛かった。母が/大層/怒って、お前のような/ものの/顔は/見たく/ないと/云うから、親類へ/泊りに/行って/いた。すると/とうとう/死んだと/云う/報知が/来た。そう/早く/死ぬとは/思わなかった。そんな/大病なら、もう/少し/大人しく/すれば/よかったと/思って/帰って/来た。そう/したら/例の/兄が/おれを/親不孝だ、おれの/ために、おっかさんが/早く/死んだんだと/云った。口惜しかったから、兄の/横っ面を/張って/大変/叱られた。

 (1) の「文末」を当てはめます。

母が/病気で/死ぬ/二三日前/台所で/宙返りを/して/へっついの/角で/肋骨を/撲って/大いに/痛かった。母が/大層/怒って、お前のような/ものの/顔は/見たく/ない/と/云う/から、親類へ/泊りに/行って/いた。する/と/とうとう/死んだ/と/云う/報知が/来た。そう/早く/死ぬ/とは/思わなかった。そんな/大病なら、もう/少し/大人しく/すれば/よかった/と/思って/帰って/来た。そう/したら/例の/兄が/おれを/親不孝だ、おれの/ために、おっかさんが/早く/死んだ/んだ/と/云った。口惜しかった/から、兄の/横っ面を/張って/大変/叱られた。

 (2) の「です」を当てはめます。

母/が/病気/で/死ぬ/二三日前/台所/で/宙返り/を/して/へっつい/の/角/で/肋骨/を/撲って/大いに/痛かった。母/が/大層/怒って、お前/の/よう/な/もの/の/顔/は/見たく/ない/と/云う/から、親類/へ/泊り/に/行って/いた。する/と/とうとう/死んだ/と/云う/報知/が/来た。そう/早く/死ぬ/とは/思わなかった。そんな/大病/なら、もう/少し/大人しく/すれば/よかった/と/思って/帰って/来た。そう/したら/例/の/兄/が/おれ/を/親不孝/だ、おれ/の/ため/に、おっかさん/が/早く/死んだ/ん/だ/と/云った。口惜しかった/から、兄/の/横っ面/を/張って/大変/叱られた。

(3) に当てはまるものとして、「大いに」の「に」は「(それ)に」と、「とは」の「は」は「(それ)は」と言へるので、切り離します。

母/が/病気/で/死ぬ/二三日前/台所/で/宙返り/を/して/へっつい/の/角/で/肋骨/を/撲って/大い/に/痛かった。母/が/大層/怒って、お前/の/よう/な/もの/の/顔/は/見たく/ない/と/云う/から、親類/へ/泊り/に/行って/いた。する/と/とうとう/死んだ/と/云う/報知/が/来た。そう/早く/死ぬ/と/は/思わなかった。そんな/大病/なら、もう/少し/大人しく/すれば/よかった/と/思って/帰って/来た。そう/したら/例/の/兄/が/おれ/を/親不孝/だ、おれ/の/ため/に、おっかさん/が/早く/死んだ/ん/だ/と/云った。口惜しかった/から、兄/の/横っ面/を/張って/大変/叱られた。

 ハイフンを付けるとすれば、「二-三日-前」「親-不孝」が当てはまります。
 ローマ字文では次のやうになります。

  • Haha ga Byouki de shinu Ni-Sannichi-mae Daidokoro de Chuugaeri wo shite hettsui no kado de Rokkotsu wo utte ooi ni itakatta. Haha ga Taisou okotte, omae no you na mono no kao wa mitaku nai to iu kara, Shinrui e tomari ni itte ita. Suru to Toutou shinda to iu shirase ga kita. Sou hayaku shinu to wa omowanakatta. Sonna Taibyou nara, mou sukoshi otonashiku sureba yokatta to omotte kaette kita. Sou shitara Rei no ani ga ore wo oya-Fukou da, ore no tame ni, okkasan ga hayaku shinda n da to itta. Kuyashikatta kara, ani no yokottsura wo hatte Taihen shikarareta.