特集「ローマ字の分かち書き」: 実例12

(2019/08/04)

  • 特集「ローマ字の分かち書き」
  • 夏目漱石 坊っちゃん
  • 分かち書き
    • (1) 文頭に置ける言葉は空白を前に置き、文末に置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (2) 「です」を後ろに置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (3) 「それ」を前に置ける助詞は空白を前に置く
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分ける
    • (3) 助動詞「ます」はつづりが長くなるのでハイフンを前に置く

母が死んでからは、おやじと兄と三人で暮していた。おやじは何にもせぬ男で、人の顔さえ見れば貴様は駄目だ駄目だと口癖のように云っていた。何が駄目なんだか今に分らない。妙なおやじがあったもんだ。

 (1) の「文頭」を当てはます。

母が/死んでからは、おやじと/兄と/三人で/暮して/いた。おやじは/何にも/せぬ/男で、/人の/顔さえ/見れば/貴様は/駄目だ/駄目だと/口癖のように/云って/いた。何が/駄目なんだか/今に/分らない。妙な/おやじが/あったもんだ。

 (1) の「文末」を当てはめます。

母が/死んでからは、おやじと/兄と/三人で/暮して/いた。おやじは/何にも/せぬ/男で、/人の/顔さえ/見れば/貴様は/駄目だ/駄目だ/と/口癖のように/云って/いた。何が/駄目なんだ/か/今に/分らない。妙な/おやじが/あった/もんだ。

 (2) の「です」を当てはめます。

母/が/死んでから/は、おやじ/と/兄/と/三人/で/暮して/いた。おやじ/は/何/にも/せぬ/男/で、/人/の/顔/さえ/見れば/貴様/は/駄目/だ/駄目/だ/と/口癖/の/よう/に/云って/いた。何/が/駄目/なん/だ/か/今/に/分らない。妙/な/おやじ/が/あった/もん/だ。

(3) に当てはまるものとして、「死んでから」の「から」は「(それ)から」と、「何/にも」の「も」は「(それ)も」と、「駄目/なん」の「ん」は「の」の撥音便で「(それ)の」と言へるので、切り離します。

母/が/死んで/から/は、おやじ/と/兄/と/三人/で/暮して/いた。おやじ/は/何/に/も/せぬ/男/で、/人/の/顔/さえ/見れば/貴様/は/駄目/だ/駄目/だ/と/口癖/の/よう/に/云って/いた。何/が/駄目/な/ん/だ/か/今/に/分らない。妙/な/おやじ/が/あった/もん/だ。

 ハイフンを付けるものはありません。

  • Haha ga shinde kara wa, oyaji to ani to Sannin de kurashite ita. Oyaji wa nan ni mo senu otoko de, hito no kao sae mireba, Kisama wa Dame da Dame da to kuchiguse no you ni itte ita. Nani ga Dame na n da ka ima ni wakaranai. Myou na oyaji ga atta mon da.