ピンイン順は不便

相変はらず、簡体字の調査をしてゐるが、漢字を検索するときピンイン順は非常に不便である。日本語の読みさへ分からない漢字が多いのに、ピンインの読みなんて分かるはずもない。漢字といふ文字は音声から独立した文字だから部首や筆画など字形から判断できるインデックスで並び替へるべきである。その点、ユニコードの並び順は部首順であり、非常に優れた選択であつた。ユニコード順で並び替へるだけで大半の漢字がどこにあるか見当が付く。一部、通用の漢字辞典と異なる部首に分類される漢字もあるが、ユニコードの方が、字義に影響されず、純粋に字形で分類する傾向が強いので逆に合理的かも知れない。

しかし、簡化字総表と言ひ、異体字整理表と言ひ、常用漢字表と言ひ、表音主義者がいかに漢字の本質を理解してゐなかつたか分かる事例である。(逆に「漢字の本質を理解してゐる表音主義者」といふ表現は矛盾してゐる。)ピンイン順や五十音順で並べられた資料など、通用する時代も地域も、漢字が持つ悠久の歴史においてほんの一瞬でしかない。

簡体字も調べれば調べるほど、略字そのものが問題ではなく、音声(しかも、満州訛りで広韻が破壊された音声)で強引に異体字をまとめたり、奇妙な形声文字を作つたことが問題だと分かる。