「ケ」は「ヶ」の大文字?

 「ヶ」とは何か?といふ問題に関して出典が見つかるのを待ちたいと思ふが、ネットのアンケートでは、現代人の感覚として「ヶ」を漢字として捉へる人が多いやうだ。

 明治時期は、「ゃゅょっ」を含め、出版物で小書きの仮名を使用する習慣は余りなかったので、手書き原稿が小書きの「ヶ」でも印刷の都合で「ケ」にされた場合もある。また、「ヶ」を片仮名と認識する人が増えたのは、文字コードの影響だと思ふ。文字コード制定以前に、印刷の専門家以外が片仮名と認識してゐたとは思へない。その専門家達も便宜上「ヶ」を片仮名の位置においてゐただけで、学問的に片仮名か漢字か否かといふ議論には関心はなかっただらう。

 ここの議論を読めば、id:uakira さんの日記について詳細が分かる。根本には文字コードが主か従かといふ認識の違ひが双方に誤解をもたらしてゐると思ふ。富田氏が規約を決めたときは、あくまでも文字コードは利用すべき対象であって絶対視するものではなく、周囲にも暗黙の共通認識があったのだが、最近の人は、文字コードが日本語を規定するとでも感じるのであらうか?文字コードの制定現場を知ってゐれば、あんな妥協の産物を過信するのは禁物だと思ふ。
 確かに、「ヶ」を片仮名と扱ふ少数の文献や資料があるらしいが、「ヶ」といふ文字が表音的な音価を持たない以上、仮名の一種とは見なされず、漢字もしくは記号に分類するしかあるまい。たとへ、文字コードで片仮名のパートにあったとしても、それはボタンの掛け違ひを修正するのが困難な文字コード規格の宿命であって、文字コードだけでは学問的な典拠にならない。といふのが私の見解だ。