ローマ字と付属語「を」

(2018/08/18)

 本家ローマ字ブログでは、付属語「を」のつづり*1として訓令第2表の「wo」を採用してゐます。
 実のところ、付属語「は」「へ」「を」と仮名文字「ぢ」「づ」を全て翻字したい気もしますが、「ぢ」「づ」については、前回*2書いたやうに、訓令第1表に「ぢ」「づ」を専用に表記できるつづりが存在せず、訓令第2表の「di」「du」は日本式系列なので、ヘボン式系列のつづりに混ぜるのも違和感があります。また、「dji」「dzu」のやうに訓令定義に含まれないつづりを採用すると、警戒感を与へるので、翻字そのものをあきらめました。
 「は」「へ」の場合、仮名文字自体は「ハ」「ヘ」と発音され、付属語は「ワ」「エ」と発音されます。ところが、「ハ」と「ワ」、「ヘ」と「エ」は大和言葉の識別に使はれます。あへて、翻字といふ原理原則に走って、違和感を与へることは割りに合ひません。
 唯一、「を」だけは、訓令第2表に「wo」といふつづりが存在し、しかも、「ウォ」と「オ」に大和言葉の識別をする機能はありません。「ソラオトブ」と言はうが「ソラウォトブ」と言はうが、「空を飛ぶ」といふ意味に変はりはありません。
 結局、翻字といふ原則を貫けなかったものを除いて、残ったのが付属語「を」を「wo」とつづる規則です。また、個人的な印象だと、「o」が単独のつづりで出てくると、数字の「0」や記号の「○」と紛らはしく、「wo」の方が文章の中でも据わりがいいやうです。