ローマ字で四つ仮名を書き分けるべきか

(2018/08/12)

 日本式では、四つ仮名を「zi,zu,di,du」で使ひ分けられます。念のため、日本式ローマ字といふ訓令があるわけでなく、訓令定義の部分集合として、日本式を導き出すことができます。これはヘボン式も同様で、訓令定義の部分集合として導き出せます。

 ヘボン式ベースにすると、「di, du」を「ぢ、づ」に使ふには違和感があります。通常、「di, du」は外来音の「ディ、ドゥ」に使用するつづりだからです。かといって「dji, dzu」のやうなつづりを導入することは訓令定義外のつづりを導入することになります。
 と前置きが長くなりましたが、根本的に、四つ仮名は、現代仮名遣ひ自体がこれを正確に定義できてゐないので、それをわざわざローマ字でトレースする必要もないでせう。だから、「ji, zu」で統一します。もともと、四つ仮名は濁点により清濁の対立が「ち」「ぢ」「つ」「づ」のやうに視覚的に明確だから現代仮名遣ひでも残されたもので、一方、「t」と「d」では清濁の対立が視覚的に明確にならず、ローマ字で残しても仕方ないでせう。
 これは、四つ仮名を否定してゐるのでなく、四つ仮名を完全に区別するのなら、正仮名遣ひまでさかのぼらないと意味がないといふことです。現代仮名遣ひベースの四つ仮名では中途半端です。