特集「1947年草稿ローマ字文の書き方」: 外国語のつづり

(2020/02/24)

〔附記1〕外来語は国語音のつづり方に従って書く。

inki インキ naihu ナイフ
tabako たばこ ranpu ランプ

〔附記2〕外国語(地名・人名を含む。)のローマ字つづりは、原則として原語に従って書く。ただし日本語風に呼びならわした地名・人名は外来語なみにあつかう。

 「附記1」は、「外国語」→「外来語」→「片仮名」→「ローマ字」の流れですが、「附記2」は「外国語」→「原語のつづり」になります。「原語のつづり」といっても、ラテン文字を使はない国の言葉はどうつづるのか不明ですが、基本的にここでいふ外国語は欧米などのラテン文字文化圏の言葉を想定に置いてをり、さうでない文字文化圏の言葉は一旦英語でつづられたものを想定に置いてゐるのだと思ひます。
 もし日本語がローマ字だけでつづられるやうになっていたら、大和言葉は以前の仮名に従ふとして、外来語は100%原語のつづりか、英語を経たつづりになったことは確実です。一旦、片仮名に置き換えるやうなことはしないでせう。そもそも仮名は死文字になってゐるのですから、仮名が新規の言葉を表すことはありません。となると、日本語から拍や開音節のしばりがなくなり、発音そのものが急速に英語に近づいていきます。原語のつづりが「L」と「R」、「B」と「V」を書き分けてゐるのなら、話し手も何とかして読み分ける努力をするやうになったでせう。
 結果的に、日本語の英語化が始まってゐたことになります。それが良いことだったのか悪いことだったのかは分りません。