特集「ワープロ式ローマ字」: 始めに

(2019/05/02)

 ワープロ式ローマ字の特集を始めます。ワープロ式ローマ字とは、キーボードの英字キーから仮名に変換し、更に、仮名から漢字に変換するために使ふローマ字つづりです。この方式は一時期 JIS X 4063 として JIS 規格になっていました。残念ながら2010年に JIS 規格としての使命を終へたといふことで、廃止されました。
 JIS X 4063 のローマ字つづりは暫定的に現れるもので、永続的に可視化されるものではありません。しかし、仮名遣ひと一対一に対応してゐること、キーボードにある英字だけで入力できることから、急速に普及してきました。その大きな特徴は、通常のキーボードでは入力できない「ô」は使用せずに、仮名遣ひと一対一に対応した「ou」や「oo」や「o-」を使用することです。その他、JIS X 4063 には、「xtu」や「-」のやうに仮名を入力するために翻字的に定められたものもあり、可視化されることを想定してゐません。また、「nn」のやうに訓令定義と矛盾するつづりもあります。
 それらを整理して、永続的に可視化されることを想定したものをワープロ式ローマ字と呼びます。そのひとつの試みが99式です。この特集では訓令定義と JIS X 4063 との差異を埋めるべく、ワープロ式ローマ字を整理します。