特集「(旧)ローマ字の分かち書き」: 助動詞「まい」

(2019/02/09)

  • 分かち書き
    • (1) 原則として、辞書の見出し語は分かち書きの独立した単位とする
    • (2) ただし、接頭辞、接尾辞は分かち書きしない
    • (3) 活用語の見出し語以外の形に接続する助動詞、助詞は分離しない
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする。
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分離する。
    • (3) 助動詞「ます」は主観的表現にも関はらずつづりが長くなるのでハイフンを前置する

別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

 まづ、辞書引きのために単語に分割します。

別段/深い/理由/で/も/ない/。新築/の/二階/から/首/を/出し/て/い/たら/、同級生/の/一人/が/冗談/に、いくら/威張っ/て/も/、そこ/から/飛び降りる/事/は/出来/まい/。弱虫/やーい/。と/囃し/た/から/で/ある/。

 「で/も」といふ表現がありますが、文脈により「でも」の一語であったり、「で」「も」の二語に解釈される場合があります。学校の文法問題では典型的な引っ掛け問題として出題されます。しかし、語源的に「で」「も」であることは明白なので、難しいことに煩はされず、常に「で」「も」と二語で扱ひます。同様に、「威張っ/て/も」の「ても」も引っ掛け問題になりますが、常に「て」「も」と二語で扱ひます。
 「出来/まい」の「出来」は「出来る」の未然形、「まい」は助動詞です。この場合は分かち書きをしません。一方「出来る/まい」といふ表現の場合は、「出来る」は辞書の見出し語なので、分かち書きをします。他に、引用文中には、接続助詞「て」、助動詞「た」の仮定形「たら」が出てきますが、全て前の単語に続けます。「同級生」は「同級-生」と分割します。

別段/深い/理由/で/も/ない/。新築/の/二階/から/首/を/出して/いたら/、同級-生/の/一人/が/冗談/に、いくら/威張って/も/、そこ/から/飛び降りる/事/は/出来まい/。弱虫/やーい/。と/囃した/から/で/ある/。

 ローマ字文では次のやうになります。

  • Betsudan fukai Riyuu de mo nai. Sinchiku no Nikai kara kubi wo dashite itara, Doukyuu-sei no hitori ga Joudan ni, ikura ibatte mo, soko kara tobioriru koto wa dekimai. Yowamushi yaai. to hayashita kara de aru.