「アッー」は確かに音声上も「aqh」かも知れない

(2019/03/03)

 ネットスラングで「アッー」といふ擬音語があります。しかし、促音の長音といふのはどう読むか見当もつきません。先日、発表した『NQ式ローマ字*1』では、翻字により「aqh」とつづることが出来ます。
 ローマ字では以前から単独の撥音「ン」、促音「ッ」、長音「-」はどうつづるのかといふ難問がありました。これらの三音のうち、実際に単独で発音できるのは「ン」だけで、それ以外は他の音に付随したものです。したがって訓令定義でも「ン」以外は決められてゐません。
 撥音といふのは汎用的な鼻音で、後続の子音により舌の位置を変へます。促音といふのは、汎用的な待機音であり、後続の子音により舌の位置を変へ、場合によっては、途中で息が漏れて摩擦音になります。長音といふのは、汎用的な継続音であり、前出の母音を継続させます。
 舌の位置に依存しない汎用的な待機といへば、息を殺したときの声門閉鎖音になります。一方、前の母音に依存しない汎用的な継続といへば、息を吐くときの無声の声門摩擦音「ハーーー」となります。促音を「q」で表し、長音を「h」で表すのは、適当に決めた訳でなく、音声学的な背景もあります。
 さう考へると「アッー」といふのは、「ッ」で喉を緊張させて息を止め、「ー」で緊張を解き、息を漏らすことから、翻字だけでなく、音声上も「aqh」で正しいのかも知れません。