歴史的假名遣ひ―その成立と特徴 → ISBN:4121008103
歴史的假名遣ひについてまとめた本。發行年代がインターネット時代でないので、著者が衰退しつつある歴史的假名遣ひを無念の氣持ちで語つてゐる部分もある。若い世代が正字正假名遣いで、ネットにブログを多數發行する時代がくると思つてもゐなかつただらう。
さて、内容だが、基本的に時代考證をふくめて客觀的な記述に始終してをり、ネットの正假名派には常識的な内容が多いが、次の三點は、非常に示唆に富んだ記述だと思つた。
- 契沖が、もし上代特殊假名遣ひに氣づいてゐれば、その區別を假名遣ひに加へてゐただらう。
- 宣長は、いろは47文字に囚はれすぎてゐて、契沖による假名遣ひの幅を狹めてしまつた。
- 字音假名遣ひは、演繹なものであり、現在も發展途上である。