インターネットは正假名遣ひ遺傳子を活性化した

ここにきて、なぜ正假名遣ひ實踐者が登場したか考へてみよう。まづ情報の匿名性であらう。次に情報の永續性が決定的な役割を演じた。以前にもパソコン通信やネットニュースなどの情報發信の方法はあつたが、これらの方法では完全な匿名性や永續性は保證されない。匿名でもメールアドレスが分かつてしまふからである。また、他人の投稿によつて自分の投稿が流されてしまふ。これでは永續性がなくなる。一方、Webページによる情報の發信では匿名性と永續性が保證される。

ところで、匿名でなければ、情報を發信できない時點で、正假名遣ひの環境が嚴しいと歎く人もゐる。もちろん、實名を出して正假名遣ひを實踐されるかたも少數であるがゐる。國語問題協議會の重鎭のやうに(失禮だが)お迎へが近いかたは、温かくスルーされるが、若い世代の正假名遣ひ實踐者は、實名を出すと、かなりの確率で迫害されてゐる。

迫害される理由は、それが異端だからである。異端とは突然變異であり、突然變異には優れた變異と劣つた變異がある。優劣に關はらずミュータント(突然變異)が迫害されるのは自然界の掟である。ところで、劣つた變異は迫害されなくとも自然消滅するのでスルーされる。從つて迫害されるといふことは優れた變異だからである。(だから、若い正假名遣ひ實踐者は迫害される。)

この状況を改善する方法は、それは、情報發信のみに注力することである。運動や連帶が無意味だとは言はないが、參加者が期待するほどの效果がでるかは分からない。とにかく無心でインターネットを使つて實踐者を増やすことである。さうすれば、出版側が動き始める。需要のあるところに供給ありだ。最近では正字正假名遣ひで書かれる新書の話もチラホラ聞き始めた。

また、出版工程が電子化されることで、正字正假名遣ひの新書を出す費用が大幅に減つたのも追ひ風だ。ただ、書籍自體が賣れなくなつたといふ噂も聞くが、これは假名遣ひとは無縁の問題だ。