少子高齡化と移民

 大石さんのところは、定期的に少子高齡化と移民政策のことを扱ってをり、今回が初めてではないのだが、私なりにコメントをする。
 その前に、大石さんは、作家といふ自營業に似合はず、マスコミが騷ぐ遙か前からワーキングプアニート(當時は、若年層失業者や棄民と表現してゐた)の問題を扱ってをり、的確に社會問題の本質をついてきた。基本的に、自營業のひとは能力があるので、弱肉強食論に傾きやすく、ワーキングプアニートを努力不足や無氣力人間として斬って捨てる傾向がある。大石さんはその立場を取らず社會全體の視點で考へる。實際、高校中退の問題兒を馬鹿にしてゐたら、彼らの犯罪に卷き込まれるのは自分である可能性も考へるべきだ。犯人が一番惡いといっても、社會全體としては、犯罪豫備軍が少ないはうが、犯罪に卷き込まれる確率が減る。問題兒の自助努力だけに期待するのでなく、彼らを社會の一員として無害化する對策も必要だらう。特に、彼らも結婚して家庭を持てば、犯罪を踏みとどまる可能性が高くなる。
 移民に關して言へば、移民贊成と移民反對、結果の成功と失敗をマトリックスにして、最惡の事態を想定することで、結論はでる。結論から言へば、私は移民反對論である。ただ、年間1萬人程度、技能があり日本語の堪能な人材を移民として受け入れるのは特に問題としない。問題なのは、年間50萬人以上の單純勞働者を受け入れることだ。

成功 失敗
移民贊成 經濟が活性化し多樣性が保てる(10%) 價値觀の違ふ民族に乘っ取られる(20%)
移民反對 勞働力不足を技術革新で乘り切る(10%) 衰頽し極貧の島國になる(5%)

 さて、最惡のケースだが、「極貧の島國」であっても日本に變はりないわけで、將來復活する機會は殘される。逆に「他民族に乘っ取られる」だと、もう日本は存在しない。日本列島に日本の傳統文化を繼承する民族がゐなくなってしまふ。ローマ帝國がなぜ滅びたか考へよう。移民促進策で最惡の事態が起きたからだ。本來は、あらゆる事態に對してこのやうなマトリックス分析を行ふべきだが、どうも一次元の分析で、親米、反米、親韓、反韓、親中、反中を唱へる人が多すぎる。