棒引き假名遣ひ2

 昨日の日記は何氣なく書いたつもりであったが、反應があったので、もう少し踏み込んだ返答をしてみよう。
 まづ、IMEについては作成者の設計が一番優先されていいと思ふ。外野がとやかく言っても、作成者が一番採用しやすい假名遣ひが一番合理的であるからだ。といふ意味で、私の書き込みは外野の野次程度で無視してもらっても構はない。
 次に、棒引き假名遣ひを例に擧げたのは、過去にある假名遣ひのなかで、一番表音的であり、現代假名遣ひの知識だけでも容易に運用が可能だからだ。
 確かに、索引は、現代假名遣ひでも十分なのだが、次のやうな言ひがかりを付けられる危險性がある。

「正假名遣ひ主義者は、あれほど、現代假名遣ひを批判したくせに、いざ辭書を作るとなると、辭書の索引は現代假名遣ひで竝べてゐる。」

 これに對して、棒引き假名遣ひであれば、現代假名遣ひの中途半端な表音主義も批判できるし、辭書といふのは「正規の假名遣ひを本索引に、表音的な假名遣ひを假索引にして引くものだ」といふ眞っ當な反論ができる。
 もっとも、字音に關しては、現代假名遣ひと棒引き假名遣ひはソフトウェアで容易に變換可能なので、どちらを採用すべきか神經質になる必要もないと思ふ。さういふ意味では、字音のレベルに神經質になる必要もないだらう。一番、粒度の細かい字音のレベルで單漢字辭書を構築しておけば、あとは辭書内の漢字熟語と照合して、好みのレベルで字音假名遣ひを再現すればよいだけだ。
 普通に考へれば、最大公約數として廣辭苑で參照できる字音假名遣ひを採用すれば、十分だと思ふ。
 辭書の構成としては、漢字熟語を1萬語ほど先行登録して、次に用言の終止形を登録して、IMEのはうで活用形を展開すればいいのかな?1萬語と言っても、常用漢字表の漢字熟語を流用すれば、5000語は確保可能だ。正字主義者から嫌はれてゐる常用漢字表だが、ライセンスフリーで利用できるものを利用しない手はない。もちろん、正字體に變更して、代替漢字熟語は元に戻す必要はある。
 變換性能は、單文節變換で十分だし、補助的に單漢字辭書を付ければ、コンパクトな辭書になると思ふ。實際、私は、通常、連文節變換なんて使はない。たまに連文節變換に挑戰しても、文章の途中で間違った變換になり、カーソルキーで選擇してゐるときに間違って確定したり、誤って全削除したりして、結局生産性が上がらないことに氣付いた。
 品詞屬性はJISで定義されてゐる。讀むだけならオンラインでも參照できる。ただ、單文節變換なら、そんなに詳しい屬性は必要でなく、名詞と、○行四段、一段、○變、形容詞ぐらゐしか要らない。名詞は、すべてサ變動詞屬性と形容動詞屬性を付けておいても問題ないだらう。連體詞、副詞、接續詞も名詞屬性で十分運用可能。受身と使役を除いた助動詞は意外と活用の組み合はせは少なく、全部の組み合はせを活用語尾として扱ってもそんなに數はない。
 ところで、國文法が嫌ひだったひとは、文節の切れ目も判らないのかもしれない。ただ、このIMEは、正假名遣ひに詳しいひとが對象なのだから、文節を正しく區切る知識はあるものとして想定可能だ。