確かに、片仮名は、明治憲法では辞を表記する重要なスクリプトとして、正仮名遣ひの立派な構成要素であるが、明治時代の先人達は外来語を音写するために、積極的に片仮名を活用してゐた。さういふ意味で、日本語の音声を直接表現するために片仮名を発音記号として活用してよいと思ふ。現代仮名遣ひのせゐで、日本語を話す人はすべて同じ発音で仮名を読んでゐるやうな錯覚を受けるが、実は、地方や時代によって違ふ。例へば「本を買った」といふ一文でも、「ホンオカッタ」と読む地方もあれば、「ホンウォカッタ」と読む地方もある。「を」を「オ」と読むのは標準語の押し付けであって、「を」を「ウォ」と読む地方もある。さういふ多様性を否定してゐるのが現代仮名遣ひである。
- 片仮名の使用例
漢字表記 | 東京 | 大学 | 教養 | 学部 | 文科 | 三類 |
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発音記号 | トーキョー | ダイガク | キョーヨー | ガクブ | ブンカ | サンルイ |
正仮名遣ひ | とうきゃう | だいがく | けうやう | がくぶ | ぶんくゎ | さんるい |
- 明治時代に使用された外来語の表記例
※「同ジ」の「ジ」は形容詞の活用語尾(シク活用に由来)なので「じ」と表記する。