特集「訓令議事録」: すり替へられた長音符号

(2019/03/31)

 1937年の訓令定義で、最終答申のときは、「ô」だったのが、実際の訓令では「ō」になってゐたことですが、通説では事務的ミスとなってゐましたが、意図的に省庁がすり替へてゐたといふ記録が見つかりました。

原案には長音符号が「^」になっていたのを,各省の意見では「 ̄」にしたいということだったので,にして,それで了承したのである。

 個人的には「ô」であらうが「ō」であらうが、単純な日本語の音韻を表記するのに、「ou」や「oo」を使はずに、字上符を使ふこと自体がボタンの掛け違ひだと思ふので、どうでもいいのですが、公開の場で結論がでたことを、非公開で官僚がすり替へたのはどうかと思ひます。
 あへて、「ô」と「ō」のどちらかを選ぶとすれば、看板等のデザインを加味すると「ō」の方がいいでせう。街角で見かける意味不明の看板「KOBAN」だって、マクロン「 ̄」を使用すれば、「KŌBAN」と横棒一本で簡単に修正できます。「KÔBAN」だと専用のデザイナーに任せないと不自然になるでせう。その意味で文字を普及させるには理念だけはだめで効率性も必要です。
 1937年訓令のローマ字調査会は議論のなかで「ti」と「chi」の優劣にだけ時間が割かれ、「ô」と「ō」の優劣はほとんど議論にならなかったやうです。そもそもまともに議論をしてゐれば、字上符の存在そのものも議論の対象になったでせう。