ブログのコメント欄と体育館裏

 この記事のコメント欄が、399件と爆発してゐたやうだ。しかも、長文のコメントが多い。最近収束したらしい。(と思ったら、また書き込みが始まったやうだ。)さて、この手の状況を見ると、体育館裏を思ひ出してしまふ。あらかじめ断っておくが、この感想は管理人ではなくブログのコメント欄を荒らす人に対してのものだ。
 まづ、ブログのコメント欄は関係者以外は余り訪れない場所だ。学校で言へば体育館裏に当たる。体育館裏も同様に人が余り訪れないので、不良が喝上げを行ったり、喫煙をするのに都合の良い場所だ。吸殻やゴミが散らかってゐるし、場合によっては薬品臭いアンパンのビニール袋が放置されてゐたりする。要するに、やりたいことをやって後片付けをせずに済むと思ってゐる場所だ。しかし管理人側は堪ったものではない。放置するとゴミが溜まるし、丁重に相手にすると調子に乗って居ついてしまふし、少し苦言を呈すると、逆恨みされて他の場所で悪評を広められるし、困り果てて立ち入り禁止にする人も出てくる。
 さて、更に厄介なことに、体育館裏で喫煙するのは不良だけでない。生徒会長も喫煙する。模範生たる生徒会長ですら背徳の誘惑に駆られるのが体育館裏である。だから、他の場所では理性の仮面を被ったブロガが、コメント欄ではモラルの欠けらもない書き込みを散らかして平然としてゐたりする。余談だが、私が中学生の頃は、生徒会長はモラルの塊だが一人になると奇行に走るのが定番だった。一方、風紀委員長は、不良が惚れ惚れするやうなファッションリーダーであることを要求された。先生がまだ禁止事項にしてゐない不良ファッションを他校と情報交換しつつ、さらりと取り入れて、先生には優等生の仮面を見せ、不良からは尊敬されるといふ絶妙なバランス感覚が必要である。
 そして、体育館裏と言へば、エロ本が捨てられる場所でもある。良く見るとブログのコメント欄もさうだ。アダルトサイトへのリンクで賑はってゐる。ブログのコメント欄はさういふ性格の場所だ。そこで自説を展開するぐらゐなら、自分のブログで正々堂々と履歴が分かるやうに書き連ねるべきだ。

  • 【あらかじめ】手元の辞書では語源についての言及はない。一説によると「有るが始め」が約まったらしい。個人的には「在らく・始め」と分解し「在らく」は「在る」のク語法とした方が音韻的には自然な解釈になると思ふ。実際に「在らく」の用例はある。
  • 斯くしつつ在らくを好みぞたまきはる短き命を長く欲りする(作者:安倍広庭 出典:[万葉集6]975/980)