某引き仮名遣ひ前史

 先日の記事「棒引き仮名遣ひと現代仮名遣ひ - ziomの日記」だが、良く見ると見慣れない字音が入ってゐる。まづ某引き仮名遣ひは正式名称ではない。長音符「−」が余りにも印象深かったために名づけられた呼称で、本来の名前は不明である。新定字音仮名遣ひ@小学校令と呼ぶべきか。棒引き仮名遣ひと言っても短音の字音も対象にしてゐる。この仮名遣ひは1900年から1908年まで学校で教へられてゐた。実際に教育の場で存在してゐたといふ意味で、歴史的仮名遣ひ、現代仮名遣ひと並んで軽視することのできない仮名遣ひである。

棒引き
(1) け  くゑ
(2) げ  ぐゑ
(3) いゆ   
(4) あむ あん あん

 (1)と(2)は「くゎ」「ぐゎ」以外の合拗音の項目、(3)は不明だが、(4)は「む」韻尾の項目だ。某引き仮名遣ひ以前は、小学校令で言及される程度は「くゑ」や「あむ」の使用例もあったのであらう。これらが小学校令で言及されてゐた意義は大きい。また、最近の字音の説明では合拗音と「む」韻尾を扱ふものが多い。概要と詳細は以下のページで理解することができる。