SHACHOU号とワープロヘボン式

(2019/04/13)

 世間では、ゴーン氏と日産との資金の移動に注目が集まってゐますが、このブログで取り上げるとすれば、「SHACHOU号」のつづりでせう。日本語の「社長」をローマ字にしてクルーザーの名前につけたと思はれますが、訓令第一表(謂はゆる訓令式)では「SYATYÔ」、ヘボン式では「SHACHŌ」になります。パスポートに従へば字上符を省き「SHACHO」です。ちなみに、パスポート式は固有名詞の規則ですから、船名なら字上符を省けますが、一般名詞である「社長」に対して、パスポート式を適用していい訳ではありません。
 もちろん、英語圏が外来語として「シャチョー(ʃaʧo:)」を「SHACHO」として表記するかもしれませんが、それは英語圏の勝手です。「victory」を日本語で「ビクトリ」と表記しようが、「ヴィクトリ」と表記しようが、日本語で勝手に決めてゐるのと同じです。
 さて、「SHACHOU」ですが、これは、まさにワープロヘボン式です。99式でもありません。99式なら「SYATYOU」となります。面白いことに「SHACHOU」の「OU」に突っ込みを入れる人は今のところゐないやうです。いちいち「Ô」とか「Ō」とか強要する方が不自然で、自然に任せれば「OU」とつづるものです。