ワ行とローマ字

正假名遣ひを實踐するためには、どうしても「ゐ」と「ゑ」の入力が不可缺である。皆さんは、多分、[wyi][wye]、もしくは、IMEをカスタマイズして[wi][we]を利用してゐると思ふ。この經緯を歴史的に考察してみよう。

第一段階、「わ」「を」を日本式ローマ字で定義する。

a i u e o
w

第二段階、外來語の「ウィンター」「ウェイター」「ウォーター」などを入力するために、「ウィ」「ウェ」「ウォ」の定義が欲しい。ワ行の隙間を利用する。

a i u e o
w ウィ ウェ

ところが、「ウォ」の場所は既に「を」が占有してゐるので別の定義が必要になる。

第三段階、「ウォ」を定義するために[wh]の組み合はせを利用する。

a i u e o
w ウィ ウェ
wh ウォ

第四段階、[wh]の隙間を埋めたい衝動に驅られる。

a i u e o
w ウィ ウェ
wh ウィ ウェ ウォ

第五段階、ところで古來から重要な假名である「ゐ」「ゑ」の定義を忘れてゐた。仕方ないから、[wy]を利用する。

a i u e o
w ウィ ウェ
wh ウィ ウェ ウォ
wy

と、こんな經緯だと思ふ。實際は最初から次のやうに定義しておくべきだつた。

a i u e o
w
wh ウィ ウェ ウォ