(2018/09/02)
特集「英米ローマ字規格」
パスポートでは、英字26文字*1しか使へません。ウムラウトと言へば、ドイツ語で馴染みのある字上符ですが、字上符が使へないときの代書法*2を定めてゐます。
- Ä → AE, Ö → OE, Ü → UE, ß → ss
代書法を予め決めておかないと、字上符を省いたり、新しい綴りを各自が決めたりして混乱をもたらすからです。ちょうど日本人名のパスポートで長音*3が「O」「OH」「OO」「OU」で混乱してゐるやうなものです。ドイツ語のウムラウトはパスポートによる国境管理制度が定着するより前に、はるかに長い歴史を持ちます。それでもドイツはパスポートに妥協して、代書法を決めたのです。
一方、日本語でローマ字を政令化しようと始めた明治期には、既に欧米でパスポートによる国境管理制度が確立してゐた時代です。その時代にあへて長音に字上符をつける政令を決めること自体がもはや時代遅れの発想だったわけです。